性的少数者約1万人を対象とした意識調査によれば、性的少数者の約25%が、性的指向や性自認を本人の許可なく暴露する行為アウティングをされた経験を持つことが分かりました。性的少数者とは、同性愛者のレズビアンとゲイ、両性愛者のバイセクシュアル、出生時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダーらの総称です。アウティングは、カミングアウトしていない当事者にとって、生活が崩壊するのではないかと恐怖を感じる行為です。
被害経験があるのは全体の25.1%で、男性を自認するトランスジェンダーでは53.6%と最も割合が高く、女性自認のトランスジェンダーは46.3%、レズビアン34.9%、ゲイ25.5%でした。アルバイトなど非正規も含め、働く人8,690人のうち78.9%が、職場や学校で、性的少数者に対する差別的な発言を聞いた経験があると答えています。
また、66.9%が、5年前に比べて性的指向や性自認の多様性が尊重される世の中になったと回答しています。社会の空気は変わりつつあります。個々の生活の場が安心できるものになるよう、周囲の理解を深める取り組みを自治体や企業は組織的に行う必要があります。
(2020年10月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)