75歳以上の医療費負担

膨らむ社会保障費をなるべく抑えたい財務省と、抵抗する厚生労働省や医療界のさや当てが本格化してきています。現在、後期高齢者が病院の窓口で払う自己負担額は、現役並みの所得がある高齢者に限り、実際にかかった医療費の3割に上っています。しかし、こうした高所得者は後期高齢者全体の7%程度で、残りの人達は1割負担です。
財務省は、可能な限り広範囲で2割負担にすべきと主張しています。自民党の財政構造のあり方検討小委員会は、1割負担は限定された低所得者だけにすべきだとする中間報告をまとめています。
これに対し、医療界や厚生労働省は、高齢者の受診控えによる健康悪化や医療機関の収入減につながることを警戒しています。2割負担となる層を絞りたいと考えで、75歳以上の所得上位20%までを2割負担にする案などを検討しています。新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した病院も多いだけに、年末に向け調整は難航しそうです。

(2020年11月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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