冬の感染症の大幅減

例年に比べて低水準で推移する季節性のインフルエンザに加え、RSウイルスなどの感染症の患者数も大幅に減少傾向にみられています。昨年国内で猛威をふるった風疹のほか、デング熱などの輸入感染症も軒並み減少しています。新型コロナウイルスの流行により、マスク着用など飛沫を防ぐ衛生習慣の定着、国境をまたいだ人の移動制限などが影響しています。
国立感染症研究所や厚生労働省によれば、インフルエンザは例年10月には、1週間あたり数百~数千人規模の患者が出ます。しかし、今季の報告は8月31日~11月1日で計124人にとどまっています。同じく冬を中心に流行する呼吸器疾患であるRSウイルス感染症の患者報告は、10月25日までの1週間に305人と昨年同時期(3,181人)の1割以下です。秋から春にかけて増加傾向がみられる細菌性のマイコプラズマ肺炎の患者数は、昨年9~10月、1週間に100人超で推移していましたが、今年は週40人以下の報告が続いています。
今年の風疹の患者は、10月25日時点で92人、麻疹も13人に抑えられています。主に飛沫を通じて伝播する感染症に、患者数の減少がみられています。マスク着用のほか、3密を避け、距離を保って会話するなど新型コロナ対策として実践されている取り組みが、結果的に他の感染症の予防につながっています。
海外から持ち込まれる輸入感染症にも、変化が生じています。デング熱の患者報告は今年42人で昨年同時期の400人から減少、デング熱やマラリアなどの熱帯・亜熱帯の地域で流行する感染症でも減少しています。コロナ禍の出入国制限で、インバウンドや国外からの帰国者が少なくなったことが影響しています。

(2020年11月7日 産経新聞)
(吉村 やすのり)

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