がん患者の精子・卵子の凍結保存

がんを患った子どもや若年世代が、将来的に子どもを産む選択ができるよう、治療前に精子や卵子などを凍結保存する場合の公的支援を、国に求める動きが強まっています。抗がん剤や放射線の治療を受けると、生殖機能が影響を受け、不妊になる場合があります。将来に子を産む可能性を高めるには、がん治療の前に精子や卵子などの凍結保存が必要ですが、高額な費用がかかります。費用の目安は30万円程度です。医療機関によっては100万円を超える場合もあります。毎年の保存更新料もかかります。がん治療費も支払う患者の負担は重いものがあります。
厚生労働省の研究班によれば、未成年者から39歳までのがん患者のうち、経済的支援があれば凍結保存を希望する人は、女性が年間約4千人、男性が約3千人に達するとしています。全額を公費助成した場合の予算規模は、年20億~40億円であり、不妊に悩む夫婦に対する特定不妊治療費助成事業の約10分の1に当たる程度です。独自に支援する自治体も増え、現在は21府県と4市に助成制度があります。
自民党議連の不妊治療への支援拡充を目指す議員連盟は、政府に要望書を提出し、小児科・若年がん患者の支援を訴えています。

 

(2020年11月12日 東京新聞)
(吉村 やすのり)

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