後期高齢者の医療費負担増

75歳以上の高齢者は約1,815万人です。病院や診療所で診察を受ける場合、いまは所得が現役並み(単身世帯で年収約383万円以上)の約130万人が、例外的に医療費の3割を負担していますが、残りの人は1割負担が原則です。厚生労働省は、1割から2割へ負担増になる人を所得が比較的多い約200万人(75歳以上の約13%)とする案を主張しています。これに対し、財務省は対象者をより広くとり、500万人超(同30%程度)とするよう求めています。
対象者が200万人の場合、単身世帯なら年金で年240万円以上の収入があると負担増になる見通しです。対象を500万人と広くとると、単身世帯で年金収入が年200万円に満たない一定数も負担が増す可能性が出てきます。政府が高齢者の一部に負担増を求めるのは、団塊の世代が75歳以上になり始める2022年度以降、保険料を払う現役世代の負担が一層重くなるおそれがあるためです。

(2020年11月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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