第三者を介する生殖補助医療に関する民法特例法案の提出

自民など与野党5会派は、生殖補助医療で生まれた子の親子関係を明確にする民法の特例法案を参院に共同提出しました。2003年、厚生労働省の審議会の部会で法整備を進めるよう報告書を出しましたが、これまで法制化に至っていません。
現行法では、第三者から卵子や精子の提供を受け、生殖補助医療で子どもを授かった際の親子関係を定める規定がありません。特例法案は、生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を安定させる狙いがあります。第三者からの卵子提供を受けた場合、提供者でなく出産した女性を母とすることを記しています。さらに夫の同意を得た上で第三者の精子を用い妊娠した子は夫を父とします。
しかし、今回の法案では、意見が分かれる代理出産や生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利については、検討項目として今後2年をめどに結論を出すことを付すことにとどめています。現状では、出自を知る権利は保障されておらず、子どもが将来、自分の出自を知りたいと求めたとしても、提供者の個人情報の保存・管理は整備されていません。事実を隠されて生きてきた子どもの苦悩や、心身の不調など深刻な問題が指摘されています。

 

(2020年11月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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