新型コロナウイルス感染症の患者を精度良く見分け、医師の診断を助ける人工知能(AI)が医療現場で使われ始めています。CT画像をもとに、新型コロナによる肺炎かどうかを見極めます。新型コロナによる重症化を防ぐ仕組みとして期待できます。新型コロナでは、胸部CT画像で肺に特徴的な影が写ることがあります。PCRによる検査体制が十分に整っていなかった3~4月の流行初期には、特に威力を発揮しました。
CTによる新型コロナ感染可能性の判断は、新型コロナ患者の診断経験が豊富な医師でも難しいことがあります。新型コロナ患者の少ない病院や、そもそも画像診断専門医が不足している病院などでは、正確な診断をすぐに出せません。そうした医療現場の現状を変えつつあるのが、画像診断支援AIです。
診断支援AIは、ベテランには及ばないが、数年の経験がある専門医と同じレベルと評価されています。新型コロナ患者を見落とすことは少ないものの、別の原因で肺炎がある患者などを新型コロナと判定することもあります。そのため、AIを使用した画像診断には、専門医の関与や指導が必要となります。
(2020年11月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)