全国の児童相談所が2019年度に対応した18歳未満の子どもへの虐待件数は、19万3,780件と過去最多でした。前年度から3万3,942件(21.2%)増え、増加数も過去最大となっています。調査を始めた1990年度から29年連続で増加しています。
虐待を種類別にみると、子どもの目の前で暴力を振るう面前DVを含む心理的虐待が、10万9,118件(56.3%)と最も多く、前年度から2万727件増えています。次いで暴力などの身体的虐待が4万9,240件で前年度比9,002件増でした。
この10年で児相での虐待対応件数が4.38倍に増えたのに対し、児相の児童福祉司は、1.74倍の4,234人にとどまっています。首都圏の児相では、職員1人が対応する虐待件数は平均月50~60件、非行や施設入所などの業務を加えると月100件ほどにのぼる所もあります。先の見えないコロナ禍が働く環境をさらに悪くしており、職員が家庭を訪問する際にも嫌がられるなど、現場にも影響が出ています。
(2020年11月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)