労働力調査によれば、日本の女性管理職比率は、2019年に14.8%であり、国際労働機関(ILO)がまとめた2019年の世界平均27.9%と開きがあります。世界経済フォーラムが男女平等の度合いを調べたジェンダー・ギャップ指数も、日本は2019年に153カ国中121位でした。主要7カ国(G7)では最下位で、中国の106位や韓国の108位などアジア主要国と比べても低くなっています。
海外では、北欧などを中心にOECD加盟の多くの国が、女性の政治家や役員の割合を一定以上にするクオータ制を導入しています。ノルウェーは2003年、上場企業の取締役に占める男女比率をそれぞれ40%以上とし、従わない企業に解散を迫る法律を設けています。
これまでわが国は、政府も企業も、女性指導層が少ない原因を女性側の問題と捉え、男性のキャリアを含む雇用の仕組みの抜本的な改善を怠ってきました。米欧では、優秀な社員が他国に引き抜かれないよう、企業が女性を含めた多様な人材を確保する雇用システムを築いています。日本企業も、世界の人材獲得競争で後れを取っているとの自覚が必要です。
(2020年12月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)