新型コロナウイルスの新しい検査法としてプール方式が考えられています。ウイルスに感染しているか調べるPCR検査で、複数の人の唾液などの検体を混ぜて一度に調べる方式です。厚生労働省が、1月に高齢者施設や医療機関の利用者や職員で症状がない人に対し、国が費用負担する行政検査として使えるようにしています。
検体を混ぜて検査した結果が陰性であれば、混ぜた全員が1回の検査で陰性と分かります。陽性であれば、誰かが感染していたことになるので一人ひとり調べ直します。感染者が少ない集団に使えば、検査時間とコストを減らせます。医療機関や高齢者施設で使えば、効率良く感染の有無を調べて集団感染を防ぐのに役立ちます。しかし、感染者が多いと、調べ直すのにかえって手間がかかってしまいます。
通常の検査より精度は落ちるとされています。複数の検体を混ぜて調べるため、1人あたりの検体量が少なくなるからです。PCR検査自体、試薬や機器で精度が左右されやすく、厚生労働省の指針では、混ぜる検体は5人分を基本としています。機器や試薬も高い精度で検査できるものを使うよう求めています。
(2021年3月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)