国は、東京一極集中の是正を目的に、東京23区などから地方への移転を促す税制上の優遇措置を2015年に導入しています。法人税の減免といった利点があり、地方への本社移転を後押ししてきました。帝国データバンクの調査によれば、2019年に1都3県(東京・埼玉・神奈川・千葉)から転出した企業数は246社と、前年の285社から減少しています。転入から転出を引いた増減は66社の転入超過でした。2020年は新型コロナウイルスの影響で転出が増えたとみられるものの、大勢を占めるには至っていません。
パナソニックグループは、2024年にかけて、管理・間接部門の1,800人のうち6割以上を兵庫県の淡路島に移す計画ですが、こうした例はまだ少数です。移転が進まなかった理由のひとつが、テレワークが普及しなかった点です。コロナ禍でテレワークが定着すれば地方移転にも弾みがつく可能性があります。
(2021年2月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)