加齢などにより筋肉量が減り、全身の筋力が低下した状態をサルコペニアと言います。転倒や骨折のリスクが高まるだけでなく、生活習慣病など様々な病気につながることもあります。新型コロナウイルスの感染拡大で外出を控えることが多くなった高齢者は、特に注意が必要です。運動や栄養が不足すると、筋肉量は、30歳頃をピークに毎年1~2%程度減少すると言われています。
サルコペニアには、加齢が原因の一次性、加齢以外による二次性があります。二次性の原因には、寝たきりや運動をしない生活習慣、心臓や肺などの重い病気、栄養不足などがあります。筋肉量が減ると、体のバランスを保つ力が衰えて転倒しやすくなり、骨折の危険性が高まります。糖の代謝を調整する機能にも影響し、糖尿病のリスクも高まります。さらに、喉の筋肉が痩せ細り、食べ物を飲み込む嚥下機能が低下することもあります。栄養状態の悪化で免疫が低下し感染症に罹りやすくなります。
予防には、適切な食事と運動で筋肉量を増やすことが重要です。食事は筋肉をつくるたんぱく質をしっかりと取ります。肉や魚、牛乳などの動物性たんぱく質のバランスも大切です。ビタミンDを一緒に摂取すると、筋肉量がより効率的に増えます。ビタミンDを多く含む魚やキノコ類なども取ることが必要です。
筋肉量を増やすには、運動の際に十分な栄養を取ることが必要です。スクワットや座った状態から立つことを繰り返す運動、ダンベル体操などの筋トレを週2回程度行うと効果があります。コロナ禍で自宅に閉じこもり運動の機会が減っても、家の中で可能な範囲で体を動かすことが大切です。
(2021年2月28日 読売新聞)
(吉村 やすのり)