DXの推進の壁

コロナ禍で、デジタル技術で事業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が増えてきています。しかし、ボストン・コンサルティング・グループによれば、DXに成功した国内企業は14%にとどまっています。積極的にトップが関与しない限り、DXが小さい取り組みになってしまい、大きな成果を出しにくい状況にあります。重要なのはトップの姿勢です。会社の事業モデルがどう変わるか、方向性を明確に示す必要があります。リアルデータを集め、分析することで新しいビジネスモデルを創造することが大切です。
推進組織のスキル不足も失敗の要因となります。DXでは、事業の進め方を抜本的に変更するため、社内の複数の部門をまたいで業務プロセスを見直す必要が生じます。しかし、複数部門の状況を理解して、最適な業務のあり方を再構築できる人材は多くありません。推進部門に適切な権限が与えられていない場合も問題です。社内外から必要な人材を集めたり、予算を確保できたりしなければ、プロジェクトを成功に導くのは難しくなります。
トップの姿勢が曖昧だと、事業部門の反発を招きかねません。社内の抵抗勢力を変革に巻き込めず、DXが頓挫するケースは多くなっています。業務の変更に現場が猛烈に抵抗する場合があります。既存業務の仕方は、長年かけてその部門に最適化されている場合が多く、現場担当の立場では変革が非合理に感じてしまうことがあります。
既存事業が問題なく収益を上げられている時期は変革を実行しにくいのですが、コロナ禍の今は、DXを進める絶好のチャンスです。

(2021年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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