ワクチンや治療薬の普及が進んでいますが、感染の拡大を防ぐ最も効果的な方法はマスクです。世界最速の計算機であるスーパーコンピューターの富岳を活用して、マスクの効用を裏付ける研究が進んできています。
実験では平均的な成人男女が強めの咳を2回繰り返した時に、0.3~200㎛の飛沫が3万個放出されたと仮定して、マスクの効果を調べています。不織布と布、ポリウレタン、医療用で効果を比べています。その結果、医療用が最も効果が高く、飛沫はほとんど漏れていませんでした。その後は、不織布、布、ポリウレタンの順番です。
そのうち不織布は、鼻の位置に入っている金具を折り曲げるかどうかが効果を大きく左右しています。折り曲げないまま装着すると69%だった防止効果は、折り曲げて着けるだけで81%まで向上します。
二重マスクによって効果は8ポイント向上しました。しかし、二重マスクは密閉性が高まるため、呼吸が困難になるデメリットもあります。マスクを使う際には通気性も大切です。通気性は、布やポリウレタンの方が不織布より4割程度優れています。マスクの通気性は装着した時の息苦しさに直結します。
(2021年3月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)