日本は、子会社も上場する企業が突出して多くなっています。上場企業のうち、株式を30%以上保有する上場企業を持つ割合は、米国の0.89%や英国の0.20%に対し、日本は10.73%にも達しています。上場子会社は、独自の資金調達がしやすく、知名度を生かした人材採用でも利点があります。しかし、親会社の利益を優先すれば、子会社の他の少数株主の利益を損ねかねないことになります。
金融庁と東京証券取引所が、改定するコーポレートガバナンスコードでは、親子上場の多さ自体には踏み込まない見通しです。子会社の取締役会に、最低3分の1から過半数の社外取締役を置き、親会社との利益相反を防ぐよう求める方針です。企業に投資家保護と説明責任を求めます。
子会社側が成長期の段階では、資金調達のしやすさなどから親子上場に意義がある場合もあります。しかし、子会社にも、経営者経験や財務の専門知識を持つ人材を置く必要があります。
(2021年3月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)