がん治療と仕事を両立できる人はそれほど多くありません。国立がん研究センターが2020年10月にまとめた報告書によれば、がんの診断時に収入のある仕事をしていた人は44%でした。そのうち、治療のため退職・廃業した人は20%、休職・休業した人は54%にも達しています。退職・廃業のうち、その後再就職・復業した人は2割以下にとどまっています。
診断時に仕事をしていた人のうち、在宅勤務や短時間勤務など職場の制度を利用したのは4割以下です。がんやその治療に伴う身体的苦痛があると答えた人は35%、精神的苦痛があると答えた人は24%に上っています。がんを抱えながら日常生活を送ることは非常に難しくなっています。国も、がん患者の相談対応や企業との調整役を担う両立支援コーディネーターを育成するなど支援策に力を入れています。
(2021年3月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)