国際養子縁組の受け入れ国

読売新聞の集計によれば、2011年からの約9年間に日本からの養子を受け入れていたのは、米国とカナダ、フランス、イタリア、ベルギーの計5か国です。最多の米国(172人)と、それに次ぐカナダ(160人)だけで全体の98%を占めています。フランスは2人、ベルギーは1人、イタリアは1人でした。年齢別では、1歳未満の乳児が225人で全体の66%に上っています。1~4歳は83人で、少なくとも5~9歳は6人、10歳以上も11人いました。1歳未満で性別も判明したのは127人で、男児68人、女児59人でした。
国際養子縁組を巡っては、人身売買に巻き込まれることや、子どもの出自に関する情報を得ることが難しくなるといった問題が指摘されています。世界的に減少傾向にある一方、日本からは多数の子どもが国外に出ています。国際養子縁組は、国内では民間のあっせん団体が、あっせん先の一つとして手がけてきました。子どもがトラブルに巻き込まれるのを防ぐため、2018年4月施行の養子縁組あっせん法では、あっせん先を国内とする原則が明記され、団体を都道府県への届け出制から許可制に移行しています。
年別で見ると、2011~2015年は年間30~40人台で推移していたのに対し、2016年は55人、2017年は63人に急増しました。その後2018年は33人と減少に転じ、2019年は8人でした。東京都によると、ベビーライフが2012~2018年度にあっせんした307人のうち、174人の養親が外国籍(米国68人、カナダ106人)だったことがわかっています。
国際養子縁組を多数手がけていた民間団体のベビーライフの事業停止は、海外の養親にも不安を広げています。国境を越えた縁組は、言葉や文化が異なるため、あっせん後の支援がよりいっそう重要となります。国際養子縁組を巡っては、あっせん先での虐待や多額の金銭が介在する事例が相次ぎました。1993年にハーグ国際私法会議で採択されたハーグ国際養子縁組条約は、加盟国に対し国内での縁組を優先し、養親の適格性の調査を行うことなどを求めています。

 

(2021年3月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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