新型出生前診断に関する厚生労働省の最終報告案

厚生労働省の専門委員会は、妊婦の血液からおなかの赤ちゃんのダウン症などを調べる新型出生前診断(NIPT)について、最終報告書案をまとめました。認定施設をクリニックなど小規模な医療機関にも広げ、今夏にも厚労省と関係学会、当事者団体などで構成する新たな組織を立ち上げ、施設基準などを議論します。
NIPTは、陽性が確定した妊婦の約9割が中絶を選んでいます。命の選別につながるとの指摘もあり、日本産科婦人科学会の指針にもとづき、日本医学会が大学病院など109カ所を認定してきました。産婦人科医だけでなく、小児科医や、遺伝に関わる相談(遺伝カウンセリング)ができる専門医がいることなどを条件に、大規模な医療機関に限られてきました。
しかし、ここ数年で学会の認定を受けない施設が急増しています。十分な遺伝カウンセリングや説明がないまま検査結果のみを伝え、妊婦やその家族が混乱するケースなどが報告されています。報告書において、従来の認定施設のような大規模で専門的な医療機関と連携する形で、産婦人科のクリニックも認定施設とできることを盛り込んでいます。新たな組織には厚生労働省が関わり、施設の認定をし、認定施設への信頼度を高めることにしています。

(2021年4月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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