L字カーブの解消に向けて

日本では、女性の就業率が子育て期に著しく下がるM字カーブが長年の課題でした。昨今は女性活躍の機運の高まりや人手不足を背景に女性の就業率は底上げされ、M字カーブも解消しつつあります。代わって浮上した課題がL字カーブです。
子育てが一段落した後に、再就職しやすくなったとはいえ、その受け皿は主に非正規雇用です。新型コロナ禍で職を失った女性も多くなっています。能力とやる気に見合うチャンスが得にくく、女性管理職・役員が増えない原因にもなっています。
経済協力開発機構(OECD)の2019年調査によれば、日本の大卒以上の女性労働力率(25~64歳)は77.7%で、OECD平均81.7%に届いていません。34カ国中30位と下位に低迷しています。高等教育をせっかく受けた貴重な人材を日本は生かせていません。
女性の働き方は、フルタイムの正規雇用とパートタイムの非正規雇用に二極化しており、柔軟な働き方が選べていません。働くか否かは個人の自由ですが、就労意欲が高い非正規雇用と専業主婦にいかに活躍してもらうかが、今後の鍵となってきます。人口減少が進む中、L字カーブの解消は経済活性化に欠かせません。
これまでの男性社会の構造がデジタル化やコロナ禍で大きく変わる局面にあり、世の中の変化が社会での女性活躍を確実に後押しすると思われます。女性が男性と同じように活躍する必要はなく、女性性を発揮することにより、組織が変わり、ポストコロナ時代に適応することが可能になると思われます。

 

(2021年3月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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