人生会議(ACP)の進め方

ACP(Advance Care Planning)とは、人生の最期に自分が望む医療やケアを受けられるよう、大切にしたいことを前もって考え、家族や主治医らと共有する取り組みのことを言います。少しずつ広がり、新型コロナの流行を受けてオンラインでの講座も登場しています。厚生労働省は、2018年にACPに人生会議と愛称をつけ、普及を促しています。
ACPの考えは、欧米や豪州で始まり、国内にも入ってきています。重要性は理解されても知名度は低く、2017年の厚生労働省の調査によれば、ACPをよく知っているとしたのは一般の3%、76%が知らないと答えています。人生の最終段階の医療について聞くと、55%は話し合ったことはないと答えています。自分がどう生きてきたのか、どんな価値観を大切にしてきたのか、どんな医療やケアを望むかなど、理学療法士らの医療従事者から説明を受けることができます。
国立がん研究センターの遺族調査でも、話し合いが進んでいない状態が明らかになっています。2017年に亡くなった患者遺族のうち、希望する最期の療養場所について、患者と医師間で話し合いがあったのは、病気により違いますが最も高いがんで37%です。患者と家族間で療養場所や蘇生処置について話し合いがあったのも、29~42%でした。最期が近くなってから話そう、決めようとしても難しく、比較的健康なうちに始めることが大切です。

(2021年4月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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