国連で働く日本人

国連など世界の国際機関で働く日本人は決して多くはありません。政府は、国が給与などを負担しながら国際機関に人材を送るJPO派遣制度を拡充し、職員を増やす試みを進めています。2014年時点で792人だった国連関係機関の職員数は、2019年に3割近く増えて1,021人となっています。それでも国連の職員に占める日本人の割合は、2019年時点で2.5%です。
そんな中、中国は着々と人材を送り込んでいます。2014年に559人でしたが5年で5割増えて829人になっています。国際機関の幹部級人事でも、中国の影響力が強まっています。15ある国連専門機関のうち、国際電気通信連合など4機関で中国人がトップです。中国に都合の良いルールをつくろうとしているとの警戒感も出ています。
日本は今年2月、幹部ポストを得るための戦略を練る関係省庁の会議を立ち上げて対応に乗り出しています。ポスト獲得も大事ですが、国際社会で日本の信頼を高めるのに欠かせないのは、何よりも国際機関で働く日本人職員一人ひとりの活躍です。

(2021年4月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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