国際エネルギー機関(IEA)は、2021年の二酸化炭素(CO2)が前年比4.8%増えるとの予測をしています。新型コロナウイルスの影響で大きく減った前年から一転して大きく伸び、2019年とほぼ同水準になる見通しです。中国を中心に石炭の消費が増加しています。
2020年は、新型コロナの感染拡大の影響で排出量は5.8%減っていました。2021年の4.8%増は、金融危機からの回復に伴って2010年に約6%を記録したのに続く過去2番目の増加幅になります。エネルギー起源CO2は、燃料の燃焼や、電気や熱の使用によって排出されるCO2で、温暖化ガス全体の7割前後を占めています。
排出増の原因は、新型コロナで低迷していた景気が回復してきたことにあります。2021年の世界の成長率は6%の見通しで、エネルギーの需要も戻っています。CO2排出量を押し上げるのは、主に電力向け石炭の消費増です。増加分の大半は中国などアジアに集中しています。中国はコロナ禍からの景気回復が米欧より早く、その影響が出ています。米欧でも石炭の利用は増えています。
世界の主要国は今世紀半ばの排出量を実質ゼロにすることを相次ぎ打ち出しています。再生可能エネルギーは太陽光と風力を中心に順調に拡大を続けています。コロナ禍が始まった2020年に3%増えたのに続き、2021年は8%増えそうです。増加分のほぼ半分は中国で、同国は石炭も再生可能エネルギーも利用が拡大していることになります。
(2021年4月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)