国立がん研究センターの報告によれば、がんと診断された患者の10年生存率が59.4%でした。2008年に診断を受けた人を10年間追跡し、胃や大腸など15種のがんについて集計しています。前立腺がんがほぼ100%、乳がんで90%近い生存率となった一方で、小細胞肺がんは9.1%、膵臓がんは6.5%でした。がんの進行度を示す4段階のステージ全体でみたもので、ステージが進むと生存率は低くなっています。
今回の生存率は、2004~2007年にがんと診断された人の10年生存率の58.3%を上回っています。がんの進行度別では、早期の1期に比べて他の部位に転移した4期の生存率が低く、早期に発見し、治療を始めるほど経過がよい傾向が見られています。また、2012~2013年の5年生存率は67.3%で、2010~2011年と比べて0.9ポイント上がっています。がんの種類別の傾向は、10年生存率とほとんど同じです。
治療後の経過をみる目安として、これまで5年生存率が使われていました。今回の10年生存率の調査で、がんの種類によっては、診断から5年が経った後も生存率が下がることが分かり、より長期に経過を観察する必要性があることが明らかになりました。
(吉村 やすのり)