男性更年期障害の予防

男性更年期障害として知られるLOH(加齢男性性腺機能低下)症候群は、主要な男性ホルモンであるテストテロンの減少により、心身に様々な不調が表れる病気です。女性の更年期障害は閉経を迎える50代前後から起こりますが、男性のテストテロン減少は、30~80代と幅広い年代で生じます。LOH症候群は、抑うつや意欲の低下など精神的な症状が中心で、国内の潜在患者数は約600万人と推定されています。
テストテロンは、筋肉質でがっしりとした骨格の体をつくるとともに、精神面にも働いて積極性や活力を高める作用があります。また、社会の中で自分をアピールするのに欠かせない社会性のホルモンで、コロナ禍で人に会う機会が少なくなって分泌が減り、LOH症候群になる人も増える可能性があります。LOH症候群を放置すると、動脈硬化が進む、寿命が短くなるといった報告もあります。
代表的な治療法はテストテロンの補充です。2~3週間ごとに注射します。症状が軽ければ、サプリメントや漢方薬を使うこともあります。テストテロンは加齢やストレス、生活習慣病によって減りますが、逆に食事や運動によってある程度は増やすこともできます。食事ではたんぱく質をしっかりとるよう心がけることが大切です。
適度な運動はテストテロンを増やします。とりわけ野球やサッカー、テニスといった他人と競うスポーツが勧められます。社会性のホルモンと呼ばれるだけに、人と会うことも大切です。特に異性と接することでテストテロンは増えます。異性の目を意識し、好かれようとする気持ちがテストテロンを高めてくれます。

(2021年5月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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