大学などアカデミアの世界の女性研究者は少数派であり、上のポストにいくほど少なくなっています。任期付き雇用を繰り返す若手研究者の中には、出産や子育ての壁で業績があげられず、大学を辞めざるを得ない人も出ています。優秀な女性研究者が壁を乗り越えられるように、大学による支援の動きが広がっています。
名古屋大学は、2009年に国内で初めて学内に学童保育所を作っています。子どもが保育園の時は延長保育もあります。小学生になると、学童に預けられる時間は短くなってしまいます。小1の壁に悩む女性研究者の声がきっかけでした。2021年度には、女性教員の割合を20%にすることを目標に掲げ、部局ごとの採用目標を設けています。
群馬大もジェンダーギャップ解消に積極的です。女性研究者が研究室を立ち上げる時の支援や、子育て中の研究者に実験の補助アルバイトをつけています。特に女性が少ない理工学部では、女性限定の公募もしています。
東京大学は、2005年に任期の有無にかかわらず、教員の育休申請時期の制限をなくしています。毎月入園を受け入れる六つの保育園もあります。女性教授や准教授を雇った場合は、5年間、大学の本部が7割の経費を補助し、採用を後押しするといった制度もあります。
(2021年5月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)