東京医科歯科大学らの研究で、腸呼吸を利用した呼吸不全の治療法の可能性が示されています。腸でも呼吸できるドジョウをヒントに、酸素が少ない環境でブタやマウスにお尻から酸素を送り込んだところ、呼吸不全の症状が改善する傾向が見られたとしています。新型コロナウイルス感染症治療などで行われる人工呼吸管理を補う新しい選択肢として、実用化を目指しています。
ドジョウは、エラの他に腸でも呼吸できるため、泥の中など酸素の少ない環境でも生きられます。チームは哺乳類にも同じ機能があるのではないかと研究を開始しました。人口的に低酸素状態にすると、マウスの動きは鈍くなりましたが、酸素を溶け込ませた特殊な液体をお尻から入れると活動的になりました。ブタでも血中の酸素の量が増えるといったデータが得られています。
この酸素を含む液体を浣腸投与する方法で人への応用を考えています。既存の人工呼吸器や人工心肺装置ECMOだけでは足りない場面で、使えるでのではないかと考えています。
(2021年5月15日 岐阜新聞)
(吉村 やすのり)