国際幹細胞学会は、研究のために14日間を超えてヒトの受精卵(胚)を培養することを認めました。胚は14日を超えると、原始線条という構造が現れ、胚の中の細胞が特定の役割をもつように変わっていきます。これまでは、14日を過ぎるか、原始線条が現れたら、胚を廃棄することが国際的なルールとして広く採用されてきていました。ヒト体外受精胚移植も、このルールに則って臨床応用されています。
新指針では、14日を超える胚の培養を禁止の分類から外し、科学や倫理の専門的な評価、承認を受ければ認めることになります。しかし、実際に培養する場合には、それぞれの国で認められることが前提となっています。ヒト胚は14日目以降様々な組織や臓器へと分化していくため、胚を体外で培養することができれば、臓器の再生や病気の治療開発などのための研究が進むことが期待されます。
(2021年5月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)