国連や国連児童基金(ユニセフ)などの国際機関で働く日本人は増加傾向にあります。2019年末の専門職以上の職員は912人で、2015年末から2割増えています。2001年と比べると1.9倍になりました。国際社会での発信強化に向けて、日本人職員を増やす政府の取り組みが寄与しています。
国際機関の職員は欧米人が多く、米国人が日本の3倍、フランス人は2倍を超しています。中国も国際機関の職員を増やしており、2019年末は829人でしたが、2015年末と比べると41%増加しています。
国連分担金では、長年米国が1位、日本が2位でしたが、2019年に中国が日本を抜いています。国際機関のトップ人事でも中国が攻勢をかけています。15ある国連の専門機関のうち、国連食糧農業機関や国際民間航空機関など4つのトップを中国人が務めています。日本は、現在国連の15専門機関に1人もいません。
政府は、国際機関で日本人を増やすことを外国戦略の一環と位置付けています。2025年までに1,000人にする目標を立てています。35歳以下で修士号を持つ人が対象で、外務省の選考と国際機関の審査を通過すれば、原則2年間国際機関で勤務できます。そのまま働き続けてキャリアを積み、幹部へ昇格するよう後押しをしています。
(2021年5月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)