新型コロナウイルス禍による外出自粛でゲームなどをする機会が増えるなか、子どもの視力の低下に歯止めがかかりません。一段と悪化するおそれがあります。文部科学省の2019年度の調査によると、視力1.0未満の小学生は34.5%で、調査が始まった1979年の17.9%から倍増しています。中学生も57.4%で、1979年の35.1%から大きく増え、ともに過去最悪を記録しています。
スマートフォンなどの普及が一因と考えられます。人間の目は近くのものを見る時、眼軸長と呼ばれる眼球の前後の長さを伸ばしてピントを合わせますが、近くを見続けると伸びたまま戻らなくなり、近視になります。眼軸長は成長期に伸びやすく、子どもは大人より近視が進行しやすいとされています。
近視は世界的な問題になっています。オーストラリアの研究機関の試算では、2050年には世界の2人に1人が近視になると見込まれています。コロナ禍の巣ごもりが視力に悪影響を与えたとの研究もあります。小中学校のデジタル化も視力低下を助長しています。適度な休憩を求めるなど機器を使う際のルールや留意点をまとめ、児童生徒や保護者に周知することが大切です。
(2021年5月)
(吉村 やすのり)