子どもと子育ての支援

わが国の子ども・子育て支援は、経済規模に比して極めて貧弱です。児童手当や幼児教育に対する補助金など、子どものいる家族を支えるための公的な支出を含む家族関係社会支出の国内総生産(GDP)に占める割合は、2017年のOECD平均は2.3%に対し、日本は1.8%に過ぎません。支援が特に充実している北欧や英仏は3%超と日本の2倍近くなっています。
子ども・子育て支援は次世代への投資です。日本財団の推計によれば、子どもの貧困解消により、大学進学者の増加や就業形態の改善を通じ生涯所得が増えると、その1学年あたりの総額は2.9兆円にも達します。そして所得増に伴い税・社会保険料の納付が増えるため、1学年あたり1.1兆円もの財政負担削減につながるとされています。財政支出は消えてなくなるものではありません。
子育て支援の充実は出生率引き上げにもつながります。家族関係社会支出のGDP比が高い国ほど出生率も高い傾向にあります。児童手当や保育所の整備が出生率引き上げにつながります。待機児童が多く女性就業率が高い地域では、保育所整備が出生率を引き上げています。子ども・子育て支援は、子どもの人生をより良くする手助けとなるだけでなく、少子化対策としても有効であり、次世代への投資となります。

(2021年6月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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