規制改革会議で、患者申し出療養、いわゆる混合診療制度の導入が提案された。これまで産科医療は混合診療であった。通常の妊婦健診は自費であるが、合併症がある場合の治療は保険診療である。現在では妊婦健診は公的助成が進み、ほとんど医療費を負担することはない。本人が公的助成で認められている以外の検査を希望する時は、保険適用されず、自らが支払いをしなければならない。しかしながら、合併症のための治療費は同日であっても保険が適用される。
先端医療を受けたり、未承認薬を希望する患者のニーズに応えるため、選択肢を広げ、治療を早く始められる点で有益な制度と思われる。医薬品の有効性や安全性を懸念する声もあるが、それは混合診療制度を導入に際しての問題点ではない。またこれまでの保険外診療では、将来の保険適用に向けて必要となる治療データの蓄積が困難であった。しかし、本制度導入により臨床データの集積可能となり、保険適用の可能性が広がることが考えられる。
(2014年6月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)