希望出生率1.8の達成

厚生労働省が6月に発表した2020年の出生率は、1.34まで落ち込みました。都道府県で最も高い沖縄県で1.86、最低の東京都は1.13でした。1995年以降、全国では出生率が1.5を下回る超低出生率状態が続いています。現在の人口を維持するのには2.07が必要とされ、この水準を上回ったのは1973年の2.14が最後です。子育て世代が希望通りに子どもを持てる数値として政府が掲げる、希望出生率1.8も、1984年以降一度も達成できていません。

厚生労働省がまとめた2020年の合計特殊出生率は1.34で、5年連続で低下しました。都道府県で希望出生率を超えたのは、沖縄県の1.86のみです。超少子化への警戒ラインとされる1.5を上回ったのも14県にとどまっています。西高東低の傾向が顕著で、東日本では長野県の1.53、山梨県の1.50の2県だけが上回っています。政府が目標とする希望出生率1.8を2013~2017年時点で達成した自治体が、全1,741市区町村のうち144あります。うち136市町村が2003~2007年に比べ改善させています。

 

2015年の出生動向基本調査によれば、夫婦が理想とする子ども数は平均2.32人に達しています。しかし子どもが持てない理由としては、子育てや教育にお金がかかるの56%が最多でした。地域の活力を維持する上で、子どもを持ちたいという思いに応えることが自治体の責務です。
全国トップの沖縄県金武町の2.47は、改善率でも0.53ポイント上昇で2位です。子ども1人につき10万円を支給する激励金のほか、5歳から中学卒業までの給食費や高校卒業までの医療費も無料としています。愛知県大府市や岡山県奈義町は、教育や雇用面での安心感を掲げています。出生率は将来のまちづくりに影響を及ぼすだけに、財政面だけでない総合的な支援が欠かせません。

(2021年6月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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