消費者物価の低迷

コロナ後の世界的インフレ懸念が浮上する中、日本の消費者物価はほとんど上がりません。消費者物価は、家計が購入する商品やサービスの平均的な価格を指します。家電や食料、公共料金など、ある時点で家計が何にどれだけお金を使っているのかを品目ごとに分け、それぞれの価格変動を平均して算出します。
中期的な物価の動きをみるうえでは、天候などの要因で価格が大きく変動する生鮮食品を除いたベースでみることが多くなっています。一般的に前年を上回って推移する状態をインフレーション、下回っている状態をデフレーションと呼びます。物価の安定を図るための金融政策を担う日銀が、その動向を重視しています。
物価指数には消費者物価だけでなく、企業間で取引する商品の価格に焦点をあてた企業物価指数などがあります。原油など原材料価格の変動が、直接的に影響する企業物価は、消費者物価の先行指数とされています。家計の需要に左右される消費者物価の動きは、企業物価に比べ小幅にとどまっています。
グローバル需要で決まる企業物価と、内需で決まる消費者物価のねじれが大きくても、企業は製品に価格転嫁ができません。調達コストの吸収を図るため、人件費の切り詰めに動くことになり、非正規労働者にしわ寄せが及ぶことになります。

(2021年6月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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