国内外に大きな波紋を投げかけ都議会のヤジの問題で、鈴木都議は女性蔑視のヤジを認め、謝罪した。その記者会見で、「早く結婚して欲しいという気持ちで言った」と話した。このヤジの背景には、女性は黙って子育てと家事だけをしていればよいとの男性の感覚が見て取れる。わが国の男性優性の思想には、大変根深いものがある。日本社会の人権意識が国際水準に達していないことが暴露された。
こういったことが問題視されればされるほど、若い男女が子どもをつくり、育てたいという気持ちが失せてしまうのではないか。これは自民党の問題ではなく、日本社会、男性の問題意識である。いかに制度を整備しても意識が変わらなければ、女性が住みやすい社会の実現は難しい。今や男性は、女性が住みやすい社会は男性も住みやすい社会であることをしっかり認識すべきである。
(2014年6月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)