世界の主要国で、少子化が進んでいます。女性1人が生涯に産む子どもの人数を示す合計特殊出生率は、いずれも低下傾向にあります。先進国は、少子化が長期化しています。経済協力開発機構(OECD)によると、先進7か国(G7)の出生率は、いずれも中長期的に人口が安定する2.0を下回っています。7か国のうち、日本、イタリア、カナダの3か国は、1.5にも届いていません。比較的、高い出生率を維持してきた米国とフランスでも、近年では低下傾向にあります。
コロナ禍に直面した2020年の米国の出生数は、前年よりも4%少ない約360万人でした。とりわけ、10代と20代の女性による出産が落ち込んでいます。フランスは、2020年の出生率が、1.8でした。2019年に比べ、0.03ポイント低下しています。パックスと呼ばれる事実婚制度を整えることなどにより、2008~2014年は2.0前後の水準をキープしていましたが、2015年頃からじりじりと下がっています。
深刻なのは韓国です。出生率は、2018年から3年連続で1を下回っています。2020年の数字は、過去最低を更新する0.84です。首都ソウルなど、都市部での少子化が顕著になっています。若い世代の雇用が不安定になっており、未婚化・晩婚化が進んでいることが最大の要因とされています。このまま少子化が続けば、韓国の人口は、2100年までに半減するとみられています。
新型コロナウイルスの感染拡大による先行き不透明感が少子化を加速させ、持続的な経済成長ができなくなる懸念が強まってきています。
(2021年6月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)