菅義偉首相が不妊治療の支援を少子化対策の柱に据えたことにより、認知度が上昇し、企業も様々なサポートを考えるようになっています。政府は、経済的負担の軽減のほか、仕事との両立支援にも注力しています。休暇制度等を整備する企業が増え始める中、さらに一歩踏み込んで、上司や同僚の治療への理解や、制度の使いやすさを高めるための取り組みに乗り出す企業も出てきています。
出産や子育ての公益財団法人1more Baby応援団の調査によれば、必要とするサポートとして、勤務先での上司、同僚などの理解が58%を占めています。次いで有給休暇をいつでも取得できる風土が53%と、休暇制度や時間単位の休暇が48%です。社内の理解を醸成し休暇を取りやすい風土をつくることが大切です。
不妊治療とフルタイム勤務の両立は極めて困難です。体外受精で胚移植まで行うと、1カ月弱の間に最低4~5回、多いと7~8回ほどの通院が必要となります。経過に応じて次の診察日が決まるため、予定も立てにくい状況にあります。通院しやすいように休暇制度を整えたり、治療費を支給したりする企業は増えています。
(2021年6月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)