新型コロナワクチンの多くは2回接種が必要で、1回目と2回目に同じ種類を使うのが原則です。異なる種類を組み合わせた際の有効性や安全性は、臨床試験で調べられていません。欧州では、1回目の接種は英アストラゼネカ(AZ)製、2回目に米ファイザー製などと異なる種類を使う異種混合接種の試みが広がっています。
英オックスフォード大学の混合接種の結果によれば、最初にAZ製、4週間後にファイザー製を接種すると、AZ製を2回接種するよりも抗体の濃度が高くなり、免疫細胞の反応も強くなったとしています。しかし、抗体の量はファイザー製の2回接種の方が多かったとしています。副作用については、AZ製の接種回数が減ることで血栓症のリスクは下がりますが、倦怠感など短期的な症状は増える可能性があります。
混合接種が注目されたのは、AZ製の副作用が問題となってからです。まれな血栓症のリスクが判明し、各国は接種対象を高齢層に限るといった対応を取っています。ただ1回目にAZ製を接種した人の2回目をどうするかが議論となり、同じワクチンを2回打つ同種接種と混合接種の差を探る研究が進みました。ファイザー製とモデルナ製はメッセンジャーRNA、AZ製はウイルスベクターというタイプで仕組みが違います。異なる種類を組み合わせることで、免疫が同種接種より強まる可能性も指摘されています。
(2021年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)