急増する社外取締役

日本の企業統治は、コーポレートガバナンス・コードの導入で転機を迎えています。その象徴が、仲間うちだけの経営体制に外部の目を入れるための社外取締役の活用です。指針に沿って2人以上の社外取締役を選任する東証1部上場企業は2020年8月時点で95%にも達しています。導入前の2割から増えています。
指針は強制ではありませんが、従わない場合は自社の事情を説明するというコンプライ・オア・エクスプレインが認められています。しかし、実際には指針の定める原則の9割以上を丸のみする企業が8割を超えています。形式主義は社外取締役や監査役の兼任の多さにも表れています。1社に関わる時間が減るため、ドイツは3社以上の兼任を認めていません。しかし、日本では、2020年末時点で全上場企業の3社以上を掛け持ちする社外役員が556人もいます。
形式の受け入れは進みましたが、実質がついてきていません。単なる数合わせに終わらせないために、人材の量と質をどう底上げするかが問題となります。企業統治で先行する米国では、ニューヨーク証券取引所が上場規則で、取締役の教育状況を開示することを求めています。

(2021年7月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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