コロナ禍で日常生活やビジネスのマナーは、在宅勤務やwebミーティングが多くなり変化してきています。求人サイトを運営するビズヒッツの男女500人のネットアンケート調査によれば、不要だと思うビジネスマナーの有無を尋ねたところ、あると答えた人は約7割にのぼっています。
ビジネスで対面が減少したことにより、名刺交換はほとんどしなくなりました。宴会や会議もweb形式で行われるため、上座・下座の席次ルールも不要です。5位のお辞儀ハンコは、会社の決裁文書を回す際、役職順にハンコを押す時の慣習です。役職が高い方に向け、ハンコを角度をつけて押していくのです。ハンコがお辞儀しているように見えることから、名付けられたとされます。ハンコを押す機会が減り、こうした慣習もなくなっていきます。
マナーは、ビジネスで物事を円滑に進めるためや、人付き合いの潤滑油として大切です。しかし、IT化やネット社会という平成以降のビジネスの環境変化に対応しないまま、形骸化しているものも多いように感じます。コロナ禍は、マナーに限らず、あまたある慣習や風習を見直すのに、絶好の機会なのかもしれません。
(2021年7月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)