慶應義塾大学の研究チームは、iPS細胞を使って難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の人にパーキンソン病の薬を用いると、病気の進行を遅らせる可能性があることを見つけています。ALS患者からつくったiPS細胞を使って、この薬の効果を確認しています。
ALS患者の皮膚や血液の細胞よりiPS細胞を作製し、神経や筋肉細胞に分化させ、病気の状態を再現します。その細胞に様々な薬を投与し、効果のある薬を発見するという方法です。約1,230種の薬を試しています。動物実験に何年も費やす必要がなくなり、短期間で薬の実用化につなげることが期待されています。
同様の方法により、国内では進行性骨化性線維異形成症や家族性アルツハイマー、難聴やめまいなどを引き起こすペンドレッド症候群でも治験が進んでいます。現在ではiPS細胞を再生医療に応用するというより、薬の研究開発に生かすiPS創薬が注目されています。
(2021年7月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)