she-cession=女性不況

コロナによる現在の経済状況は、国内外でシー・セッション(she-cession)=女性不況と呼ばれています。女性が男性以上に大きなダメージを受けているとしてできた造語です。男性労働者が多い製造業を中心に大きな影響が出た2008年のリーマン・ショックとは異なっています。
働き手への影響は、国内でも女性に顕著です。感染拡大が本格化した昨年4月の女性の就業者数は、前年同月より53万人減り、27万人減だった男性の2倍の落ち込みになっています。同じ4月に跳ね上がった休業者数も、女性は前年同月比249万人増で、増加幅は男性の1.5倍となっています。支援策においても、ジェンダー視点が必要となります。経済への制約が長引けば、脆弱な生活基盤しか持たない人々を更に追い詰めてしまうことになります。
コロナ禍で、打撃が大きかった飲食や宿泊業界は、働き手の6割が女性です。そもそも働く女性全体の半分が非正規労働者で、雇用調整の対象にされやすい状況にあります。さらに家事・育児の分担が女性に偏る構造の中で、一斉休校や外出自粛で増えた負担が上乗せされ、離職を選ばざるを得なかった女性も多くなっています。こうした傾向は、世界の多くの国で共通しています。男性より賃金が少なく貧困に陥りやすい状況も似ています。

 

(2021年7月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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