日本企業におけるデジタル技術で、ビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)の進化のスピードが失われています。コロナ下で世界のDXは加速しており、このままでは置いていかれてしまいます。
過去のリストラで、実動部隊の情報システム部門を手放し、司令塔であるはずの最高情報責任者(CIO)も名ばかりという実態があります。総務省の調査によれば、米英独企業の3~4割にCIOがいるのに日本は1割強にとどまっています。CIOに権限がないことも多く、情報システムを経営に生かせていない現状があります。
日本企業の売上高に対するIT予算の割合は、2020年で1.0%に過ぎません。北米の3.3%、欧州・中東の2.6%に水をあけられています。しかもIT予算のうち、外部委託費の比率が34%と高く、ユーザー企業のシステム内製化が進む北米の20%と比べると丸投げ体質が透けてみえます。
スイスのビジネススクールIMDが公表した世界63カ国・地域の2020年のデジタル競争力ランキングで、日本の総合順位は27位です。デジタルやテクノロジーのスキルは62位、ビッグデータの活用、企業の俊敏性に至っては63位という惨状です。
(2021年7月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)