役員報酬を海外と比べると日本は低い水準です。大手コンサルティング会社ウイリス・タワーズワトソンの日米欧5カ国調査によれば、売上高1兆円以上企業の最高経営責任者(CEO)の報酬は、15億円近い米国に対して日本は2億円弱です。7倍超の開きがあります。米国は業績や株価に連動する報酬が約9割を占めていますが、日本は6割です。その割合は日本も年々増えて欧米型に近づいてきていますが、金額の差は依然大きいままです。
コロナ下でも役員報酬は株高の追い風を受けた一方で、従業員給与は2020年に冷え込んでいます。厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、パートなどを含めた働き手1人あたりの月間の現金給与総額は、約31万8千円と前年より1.2%減少しています。業種別では、飲食サービス業5.9%減、製造業3.4%減などの下落が目立っています。産業全体でみると残業代などの所定外給与が1割強減少しています。飲食店や百貨店の時短営業、工場の操業調整などの影響が出ています。
日本の働き手の収入は、長年伸び悩んでいます。OECDによれば、加盟35カ国の平均賃金は2000~2020年に約16%上がりましたが、日本では平均以下の水準で横ばい続き、順位は2000年の17位から22位に落ちています。
(2021年7月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)