国際通貨基金(IMF)は、最新の世界経済見通しを公表しています。2021年の世界の成長率は前年比6.0%増です。先進国で見通しが改善した一方、発展途上国は悪化しています。4月の予想より、日本は緊急事態宣言による行動抑制などの悪影響を踏まえ、前回より0.5ポイント減の2.8%と、先進国で最も大きな下方修正となっています。
戦後最悪の世界不況に陥った昨年から、今年は世界全体としては回復に転じ、2022年も前回予想を0.5ポイント上回る4.9%の成長を続ける見通しです。ワクチン接種が進み、強力な経済対策も重ねる米国の回復が先導しています。今回の見通しでは、4割がワクチン接種を終え、経済対策も続ける先進国と、そうした環境が整わない新興・途上国との格差がさらに広がっています。
日本は、2020年の打撃は前年比4.7%減と先進国では平均的な水準でしたが、2021、2022年の成長率予想は、それぞれ2.8%、3.0%であり、先進国の中で最も低くなっています。ワクチン接種で出遅れ、2021年前半に経済の再開が十分に進まなかったのが響いています。
(2021年7月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)