新型コロナウイルス感染者の病院外療養

新型コロナウイルスの感染が急拡大し、東京都では病院外で療養する感染者が2万人を超えています。コロナ病床の使用率が5割に達し、スムーズに入院できない事態も想定されます。
都内では、8月1日までに5日間連続で3,000人以上の新規感染者が確認され、1日時点で都内で療養中の感染者は2万4,774人にまで増えています。最も多いのが、自宅療養者で1万1,018人と全体の44%を占め、入院患者が3,166人で13%、宿泊療養者は1,739人で7%と続いています。入院・療養先を調整中の感染者も8,851人に達しています。
感染拡大の第5波では、ワクチン接種が進んだ高齢者の感染が減少する一方、50代以下が新規感染者の9割超を占めるようになっています。若年層は高齢者に比べて重症化リスクが低く、軽症または無症状の感染者が多いことから、療養者全体の半数が自宅またはホテルで過ごす形となっています。
既に都内では、コロナ患者用の病床6,406床のうち、約50%が患者を受け入れています。このうち重症患者用の病床(1,207床)の使用率は68%に上っています。このままのペースで感染者が増え続ければ、自宅やホテルでの療養中に体調が急変しても、入院先の決定に時間がかかるケースも起こりえます。こうした病床確保には、東京都医師会が体制の整備を進めるべきであります。第5波にもなりながら、その準備期間は充分にあったと思われますが、その体制づくりができていないのは、医師会の怠慢と言わざるを得ません。

(2021年8月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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