日本が小選挙区制で衆院選を実施した1996年以降、日本の首相の平均在任日数は821日で、2年余りで交代する計算になっています。G7ではイタリアに次いで短くなっています。最長はドイツの4,228日です。大統領制の米国は最長2期8年、フランスは連続2期10年と決まっています。日本と同じ議院内閣制をとる英国とカナダの首相は総選挙の敗北に伴う退陣が目立っています。
日本の歴代最長は、安倍晋三氏の連続2,822日です。5年以上務めたのは、安部、佐藤栄作、吉田茂、小泉純一郎の4氏だけです。最短は太平洋戦争の終戦直後の東久邇宮稔彦内閣の54日でした。政権選択選挙となる衆院選とは別に、3年に1度の参院選や自民党総裁選もあります。橋本龍太郎内閣や第1次安部内閣は、参院選で大敗後に退陣しています。
英国やドイツ、カナダは、上院の権限が制約され、政権交代など国政全体に及ぼす影響力は日本ほど大きくありません。イタリアは上院と下院が対等で、小政党が乱立しています。首相を選べず組閣できない場合、大統領が学者をピンチヒッターの首相に任命して実務家内閣を立ち上げるのが慣例になっています。
(2021年7月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)