国立大学におけるジェンダー対応の加速

文部科学省は、15年前から女性研究者の支援事業を続けてきています。しかし、大学関連の女性研究者比率は28%と、OECDなどのデータによれば諸外国より低率です。国立大学の女性教員は18%と、公立や私立を下回っています。そのため、国立大学で女性の教員や学生を増やす取り組みが加速しています。教員を女性限定で国際公募するなどの積極的改善措置(ポジティブアクション)の導入も進んできています。

 

積極的改善措置とは、社会的、経済的な格差が存在する場合に、実質的な機会の平等を確保することです。国連が1979年に採択した女子差別撤廃条約で、事実上の平等を促進するための暫定的な特別措置は、差別でないとされています。政党の候補者や企業の役員に占める女性の割合を法律などで定めるクオータ制が、導入されている国も多くなっています。
日本社会は性別役割分担意識が根強く、女性に責任ある仕事を任せられないといった偏見があります。大学がジェンダー平等を実現することで、多様な視点からの研究を推進するとともに、社会を変える若者の育成につながります。新しい社会の姿を先取りした大学には、国内外の多様な人々が集まり、新たな知を創り出すはずです。

(2021年7月30日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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