消費者物価指数は、国内の物価の推移を判断する代表的な指標です。総務省が発表した7月の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合で99.8でした。前年を0.2%下回り、昨年8月以降12か月連測の下落となっています。物価が上昇する欧米とは対照的に、日本は低迷から抜け出せずにいます。
コロナ禍で国内外の経済活動が縮小し、原油価格が下落するなどしたため、日本の物価指数は昨年4月以降、マイナスか横ばいが続いています。一方、欧米ではワクチン接種が進み、飲食などのサービス消費が活発になって物価の上昇が続いています。米国は今年に入り大きく伸びており、7月は前年同月比で5.4%上昇し、ユーロ圏も2.2%と底硬く推移しています。
日本では人手不足が続いて賃金上昇の要因になっていますが、先行き不透明感で個人消費が力強さを欠き、物価の伸びは弱い状況が続いています。経済が好調で上昇基調にある欧米との差は開きそうです。
(2021年8月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)