米国ワシントン大学の予測によれば、世界の人口は、2064年の97億人をピークに減少するとされています。50年までに、世界195カ国・地域のうち151が、人口を維持できなくなってしまいます。国連は、2100年に109億人となるまで増え続けると試算していましたが、出生率が想定以上に落ち込む見通しです。
産業革命を経て、人口増を追い風に経済を伸ばし続けた黄金期は過ぎました。人類の爆発的な膨張が終わり、人口が初めて下り坂に入ります。30万年の人類史で、寒冷期や疫病により一時的に人口が減ったことはありますが、初めて衰退期がやってきます。
1960年代後半に世界の人口増加率は、ピークの2.09%に達しましたが、2023年には約80年ぶりに1%を割ってしまいます。2017年には、15~64歳の働き手(生産年齢人口)の増加率が1%を下回り、既に世界の約4分の1の国で働き手が減り始めています。米欧に続き、アジアでも少子高齢化により働き手が減少してしまいます。
(2021年8月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)