岸田文雄新首相は、健康危機管理庁を創設しようとしています。この危機管理庁は、新型コロナウイルスをはじめ、感染症の流行など日本が大変な事態になった時に備えて、国と自治体をつなぐ司令塔のような役割を持たせるものです。政府の行政機関の一つとし、いつでも対策にあたれる組織にしたいと考えられています。
新型コロナに対応する中、今の体制では限界があります。保健所の仕事が増えて、コロナ患者への連絡が十分できなかったり、感染の急拡大で入院用のベッドが不足して、自宅で亡くなる人が相次いだりしました。こうした問題を解決するには、国や自治体そして医療機関などがうまく連携する必要があります。
厚生労働省がこの役割を担当していますが、その業務は幅広く、コロナ対応も加わって仕事がとても増えてしまいました。大臣も1人だけで、コロナに対応しながら、少子高齢化に合わせた社会保障改革に取り組むのは難しいとされています。だから厚生労働省の仕事の一部を、健康危機管理庁に移すことが狙いです。
(2021年10月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)